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太陽光発電を知る ― 先輩発電所長からのアドバイス
答え 12〜20
●太陽光発電システムとそろばん勘定(費用)について
Q12.設置費用などの初期投資分は、何年くらいで回収できる見込みですか?元は取れますか?
A.
太陽電池の取得時期,電灯契約によっても差があります。最近取得した方の場合は,標準家庭の(4人家族)の場合、電灯契約が従量電灯の場合で30年〜40年,時間帯別契約の場合20年〜30年ぐらいで初期投資が回収可能です。節電に努めている人の中には、それぞれ、前者で20年前後、後者で15年前後の例があります。
また、電力会社によって深夜電力を併用した電力契約メニュー(例えば東京電力の場合はナイトエイト、ナイトテン、電化上手など)があり、昼間の電力が30円/kWhを越えるものがあります。この場合は回収年数が5年前後短縮する例があります。
Q13.設置した太陽光発電システムの1kWあたりの価格はいくらくらいですか?
A.
10年前(1997年頃)は,1kWあたり平均100万円ぐらいでしたが,最近では平均70万円前後です。訪問販売では比較的見積価格が高めだといわれています。新たにシステムを購入される場合は複数の販売会社から億劫がらずに見積もりをとることを進めます。価格も自ずと競争原理が働き低めになります。ただ過度の値引きは設置工事の手抜きなどになってしわ寄せが来ますので複数の見積もりから相場を判断して決定されるのが賢明なグリーンコンシュウーマーといえます。なお以下のサイトで最新の価格情報が参照できます。
新エネルギー財団 http://www.solar.nef.or.jp/josei/zissi.htm
PVTEC http://www.pvtec.or.jp/data.html
Q14.太陽光発電システムはどのように発電するのですか?
A.
太陽電池は,太陽の光があたると光電効果によって,半導体の中で+と-に分かれます。これに負荷をつなげると直流の電気として取り出すことができます。太陽電池は,最小単位をセル,それをパッケージしたものをモジュールといいます。そして,架台に取り付け,何枚かを接続配線したものをアレイと呼びます。ここまでは,上記の仕組みと同じように直流電力の発電を行います。これに,直流電力を交流電力に変換する,パワーコンディショナを接続して,太陽光発電システムとなります。太陽電池セル・モジュール・アレイからパワーコンディショナを介して,交流電力の発電を行います。独立系のシステムではモジュールと直流ファンなど直接昼間利用するものとバッテリーで蓄電して使用するもの、さらに交流にして一般の電気製品を動かすものがあります。
Q15.太陽電池の種類とそれぞれの特徴を教えてください。
A.
太陽電池には,シリコン系と化合物系(III-V,II-VI)があります。シリコン系が一般的です。シリコン系には,結晶系,非結晶系があり,さらに結晶系には,単結晶,多結晶があります。
特徴としては,
・単結晶系:高効率(15-17%)でセルの形状が疑似正方形になりモジュール組み立ての時隙間が出来ます。
・多結晶 :高効率(12-14%)でセル形状は正方形です。現在最も出荷量が多い。
・非結晶系(アモルファス):効率(6-10%)薄膜で大面積や,曲面加工ができます。電卓や時計に使われ住宅用の太陽光発電がない時代では主流の製品となっていました。
・化合物系:CIS,CIGSなどがあり効率が8%前後で一般家庭用として商品化されつつあります。
・球状セル:テキサスインスツルメント社が1991年に発表した球状シリコン太陽電池は現在は展示会にサンプルが出てくる段階になっています。
・薄膜太陽光発電:シリコン材料を極力減らすことで大幅なコストダウンを狙いさらに設置の自由度を増す意味で1ミクロン程度の薄膜の技術開発と実用化が競われています。
・有機太陽光発電:光合成の原理を活用した色素増感太陽電池も変換効率の向上が実験段階で報告され注目を集めています。コストダウンの切り札の1つです。
Q16.太陽光パネルを選ぶ場合、どんなことを基準に選べばいいですか?
A.
個人が住宅用として選択するのであれば,各社のパネルの選択の自由度はほとんどない。大きな性能の差がなくなってきているからです。選択をする場合まずは,環境重視であるか,経済性重視であるかが考えられます。環境重視であれば,太陽光発電システムを製造するのに必要なエネルギー量など(EPTやLCA等)をメーカに聞いてみるなどが考えられます。経済性重視なら,設置コストで選ぶことが重要でしょう。両方ともに重要なことは,ランニングの発電量ですので,それに関しては,定格の効率などではなく,温度特性や分感度特性などを気にするのが良いと考えます。定格出力測定と同じ条件は,実フィールドでは少ないので,同じ定格でも実フィールドで性能が良いものを選ぶことがポイントです。パネルの効率に関しては,設置に必要な面積に影響がある程度なので,あまりそれにとらわれず,自宅の屋根に何kW載せたいか,載せられるかという観点で選択することが重要と考えます。また,新築,既築などにより,建材一体型や屋根置型などが考えられます。デザイン性にすぐれたものもありますので,そういった観点で選ぶことも一つの方法だと思います。あとは,太陽光パネルメーカのメンテナンスやサービスの充実なども選択肢の一つだと考えられます。
Q17.太陽電池の寿命はどれくらいですか?
A.
太陽電池としての寿命は,まだ正確に分かっていません。寿命が30年以上とか半永久的と言われています。ただし,システムとしては,インバータなどの寿命(〜10年)が先にあると考えられます。期待寿命については,太陽電池モジュールは約20年以上。実際に30年以上稼働している例もあります。ただし,汚れや外観変化などにより,出力低下する事例もあります。その他,機器(パワーコンディショナ)は各メーカとも設計寿命が10年程度の部品を使用するようになりメーカー保証期間も10年が定着して来ました。30年以上を考慮して減価償却年数を考慮することも重要です。
Q18.メンテナンスや掃除は必要ですか?
A.
汚れに関しては,通常,雨で大抵の汚れは洗い流されます。ただし,油分を含む汚れなどすべてを洗い落とすことはできません。実験としては,JQA(日本品質保証機構)がモジュールを利用して試験した結果,年間で1.0〜2.2%程度の低下が見られました。
しかし,場所によって偏在があり,周囲の環境に依存することもあるようです。また,常に汚れているわけではなく,雨天時のあとなどには,汚れは取り除かれる結果もでています。傾斜角度との関係もあり,傾斜が浅いと若干汚れがたまりやすいようです。他にモジュールの構造により,しきいがあるようなモジュールに関しても汚れが溜まり易いようですが,定量的な評価を十分に行った例は,あまりありません。高速道路の近くや,火山灰の降るところなど特殊なケースをのぞいては,それほど気にする問題ではないと考えています。極端に出力が落ちるなどある場合は調査が必要かもしれませんが,屋根に登るなどは危険ですので,メーカや設置業者にご相談されることをお勧めします。
Q19.維持管理費用は掛かりますか?
A.
設置者の中で不具合がない場合はほとんど維持管理費が掛かっていません。しかしメーカの10年保証を受ける場合には4〜5年おきの有償点検をする必要がありその費用が1〜3万円と幅があります。完全にメンテナンスフリーと言うことはできません。しかし同じ自然エネルギーでも風力発電などと比べると費用は大幅に少ないと言えます。
Q20.パネルの経年劣化はありますか?
A.
太陽電池モジュールに関しては,まだ完全に解明されていませんが,関西電力(株)六甲実験センタにおいて10
年以上使用された太陽電池モジュールの劣化状況の調査を行い,140枚程度のモジュールを利用して,宮古島,鳥栖市,北見市,オマーン国などで長期暴露試験を現在も実施中です。モジュールに関しては,充填材が白濁したり黄濁したりするケースも見られていますが,数として多くはありません。現在は,加速試験の方法も開発しています[1]。
また,1966年に設置した長崎県尾上島の灯台用太陽電池(シャープ製)が、現在も現役で稼動している例もあります。[2]
海外では,ドイツで1982年から設置されている20年間設置されたPVプラントでの約250枚のサンプル数のうち13枚が1.7%程度劣化,5枚が9.1%劣化という結果もあります[3]。発電するという点では,20年以上は,持ちそうですが,汚れや劣化による影響を定量的な結果は,まだあまり見られません。太陽電池セル自体は,基本的に半永久とされています。そのため,再利用するリサイクリングのプロジェクトもあります[4]。
太陽光発電システムとしては,パワーコンディショナなどの装置に関しては,各メーカとも設計寿命が10年程度の部品を使用しています。
[1] NEDO技術開発機構 「太陽光発電システム共通基盤技術研究開発:太陽電池評価技術の研究開発」
[2] http://sharp-world.com/sc/excite/kankyo/text-2/energy-3.html
[3] A. Realini, et al, "Study of a 20-year old PV
plant (MTBF Project)", 17th European Photovoltaic
Solar Energy Conference and Exhibition.
[4] NEDO技術開発機構 「太陽光発電システム共通基盤技術研究開発:太陽光発電システムのリサイクル・リユース処理技術等の研究開発」
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