パリ協定採択5周年を目前に控えた2020年12月10日、環境NGO/NPOや市民団体、若者グループらが呼びかけ団体となり、パリ協定で掲げる1.5度目標と整合した温室効果ガス排出削減目標と、エネルギー政策の見直しを政府に求める「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンがスタートしました。PV-Netも呼びかけ団体として参加しています。
産業革命以来、世界の平均気温はすでに1度以上上昇しています。気候危機による壊滅的な被害を回避するためには気温上昇を1.5度に抑える必要があり、2030年に世界全体の温室効果ガスを半減させなければなりません(2010年比)。しかし、今のままの排出が続いた場合、2025年からの5年間では毎年15.4%もの削減が必要となり、この達成はほぼ不可能と言われています。つまり2025年までの「あと4年」が私たちの未来を決める岐路となるわけです。
日本の状況はというと、いま政府は「地球温暖化対策計画」と「エネルギー基本計画」の改定作業を進めています。タイミング的に今回の見直しは、すでに現実化している気候危機に歯止めをかけるため、そして再生可能エネルギーへの大幅な転換を実現するためにも、極めて重要な局面にあります。そこで本キャンペーンでは、「気候危機の影響を最も受ける若者を政策策定のプロセスに参加させること」「温室効果ガス排出削減目標の引き上げ」「石炭火力や原発、現在実用化されていない技術に頼らないこと」などを要望する署名活動を実施します。
2025年までの4年、日本がどのように気候・エネルギー政策に取り組んでいくのか――。その内容が気候危機を解決に向かわせ、未来を守ることのできるものに変わるよう、私たちは今、行動を起こす必要があります。そしてその主体となるのは、将来世代が望む未来を奪ってきてしまった私たち大人でしょう。
文:加藤 聡